ジャンセン(JANTZEN)の理念や考えに基づき、そこから派生したライフスタイルに纏わる“ヒト・モノ・コト”にフォーカスしていく連載企画「JANTZEN COLUMN」。
vol.24では、意外と知らない普段着のニットセーターやウールアイテムのホームクリーニングHOW TOをご紹介。
そもそも、秋冬素材のニットやウール製品の日頃のケアは、ファブリックミストだけで済ませて、シーズンが終わったらドライクリーニングにお任せ! という人も多いのでは? 実は、自宅でのウェットクリーニングだからこそ落とせる汚れや、むしろ適度に洗うことで、ただドライクリーニングに出すよりキレイさを保てることもあるのだとか。
今回はプロも支持する人気クリーニング店〈LIVRER(リブレ)〉で、1着につき5分程度、誰でも簡単にできる自宅での洗濯方法を教えてもらいました。
〈LIVRER(リブレ)〉は、某有名劇団の衣装部やファッションスタイリストなど、業界人たちからも根強く支持されるクリーニング店。現在は、東京の三宿と横浜に店舗を構えている。クリーニングの難しいシルクのシャツやワンピース、カシミアやウールのセーターなども独自に開発した洗剤と卓越した技術によって服を極力痛めることなく、きれいに洗濯。また、用途別に展開されるオリジナルの洗濯洗剤やファブリックケアアイテムにも定評があり、それらは〈リブレ〉の店頭やオンラインストアでの販売だけでなく、セレクトショップや百貨店でも取り扱われている。
WEB:https://livrer.co.jp/
「セーターやマフラーetc…いわゆる冬物はとりあえずドライクリーニングに出せばいいでしょ!って思っている人、多いはず。基本的には正解なのですが、クリーニング屋さんのドライクリーニングに出しても落ちない汚れがあるのです。水を使わず、油を原料とした特殊な溶剤を使って洗濯する“ドライクリーニング”では、油性の汚れは落ちるけれど、汗汚れやしょうゆのシミなど水溶性の汚れ、土やホコリなどの不溶性の汚れは落ちないもの。だからこそ、いずれドライクリーニングに出すにせよ、各アイテムの品質表示をよく確認した上で、セーターの襟元や袖口、汗をかきやすい脇あたりなどは特に部分洗いするなどして、適宜自宅でのウェットウォッシュをすることが、衣類を末長くキレイに保つのに効果的なのです」(リブレ三宿店 綿田さん)
それでは、セーターの洗濯をはじめてみます。
左から、ウール&デリケート製品用の洗剤「シルク&ウール ディタージェント」600ml ¥4000、霧吹きボトル(参考商品)、洗濯用ブラシ¥1650/リブレ
・ウール&デリケート製品用の中性洗濯洗剤
・霧吹きボトル
・洗濯ブラシ(写真のものは馬毛、歯ブラシでも代用可)
・洗濯おけ
・水(適量)
・洗濯ネット
・洗濯機(脱水に使用)
・ハンガー 2,3本(干す際に使用)
※洗う前に…
・水洗いをする前に、服の品質表示はよく確認を。(手洗い可能か、素材の配合、シルク製品は水洗いは絶対にNG)
・ウールのアイテムは、水洗いすると縮みやすいのでごく短時間で行うことを心がける。
・迷った場合はクリーニング店に相談する
・コートやジャケットなどのアウター類は、脱水や乾燥も難しいためクリーニングに出すのがベター
まず、下準備として襟元やシミがある箇所の部分洗いに使用する薄めた洗剤液を作ります。
① 水とウール&デリケート製品用の中性洗濯洗剤を1:1の比率で割る
② ①で作った薄めた洗剤液を霧吹きボトルにつめる
全体を水洗いする前のプレケア。洗濯するセーターを台の上に広げ、特に汚れが気になる箇所やシミの有無を確認する。着用で汚れやすい襟元や袖口は、手洗いでの汚れ落としが効果的な部分。
① 下準備で作った薄めた洗剤液をセーターの襟元にまんべんなくスプレーする。
② 汚れやすい袖口も①同様に薄めた洗剤液をスプレーする。
③ ①②で洗剤をかけた箇所を洗濯ブラシでトントンとたたく。
「こするよりたたく方が服の生地を痛めずに洗剤を浸透させることができるんです。襟袖のほか、シミが気になる箇所も同様に。また、服の表面が汚れているときは表面から、内側が汚れいているときは内側から上のケアを行ってくださいね」(リブレ三宿店 綿田さん、以下同)
③まで終えたセーターは、洗濯おけに入るサイズに畳んでおく。
1.常温の水(30℃以下)を入れた洗濯おけに、適量の洗剤を加える(使用する洗剤の説明書きを読み、手洗いの希釈に適切な分量を)。洗剤を入れた水を手でよく泡立てる。
2.ふわふわと洗剤の泡が浮き上がる程度までしっかりと。「泡が洗う洋服を保護してくれるイメージで、上の写真を参考にしっかり泡立てましょう」
3.よく泡立てた洗剤水に畳んだセーターをつけて、やさしく押し洗いする。大体30秒程度でOK。ウールが水を弾いてしまうことがあるので、しっかりと服全体が洗剤水につかるように。「あくまでも“やさしく押し洗い”! もみ洗いはNGです、生地がよれる原因になってしまいます」
4.押し洗いしているセーターの上下をひっくりかえして(今水面側にある方が今度はおけの底側になるように)、再度30秒程度押し洗い。「ウールは水に弱い素材なので、洗い時間は短時間で。洗う時間少なくない?と気にされる方が多いですが、水流の力でしっかり洗えていますよ」
5.洗剤液から取り出し、セーターを畳みながら押ししぼります。間違ってもねじったりしないように。
6.水を切ったセーターは畳んだまま洗濯ネットに入れて、洗濯機で脱水をかけます。「洗濯ネットのサイズ感にゆとりがありすぎると、ネットとセーターの摩擦で毛玉ができたり、縮みの原因になったりするので、余分なネットは上の写真の様に結うかゴムで縛るといいでしょう」
洗濯機はソフトやおうちクリーニングコースなどのデリケート洗濯に適した設定にし、1分ほど脱水を。もしもエラーが出る場合は、今回の洗濯物に加え、バスタオルを1枚入れるとよい。「脱水を洗濯機にするのは理由があって、脱水時の遠心力で汚れを外に飛ばしてくれることも期待できるからです」
7.脱水し終わったセーターを真水ですすぎます。洗う時同様、やさしく押し洗いで、洗剤を流すイメージ。
8.上下面を入れ替えて、もう一度押し洗いしながらすすぎます。すすぎ時間は、トータル1分くらい。
このあと、先ほどの脱水時(6.参照)と同様にネットに入れて洗濯機で脱水をかけて、洗濯は完了です。「洗濯は1着5分程度で完了できるので、ぜひこまめにやってみてください」
1.洗ったセーターは裏表にして干します。縫い目の縮みを伸ばすようにしながら、セーター全体の形を整えます。ちなみに写真で使用しているカーブ型のハンガーは、「リブレ オリジナル バルミーハンガー」(¥2420)で、洋服の肩をいためないように設計された特殊なハンガー。「ホールガーメントで縫い目のないセーターでも、もちろん形を整えて干しましょう」
2.干している際のニットの伸びを防ぐべく、リブレ直伝の“おばけ干し”に。今回はレギュラー丈のセーターなので、2本のハンガーを使用。丈の長いものなどは、適宜本数を増やして重心を分散させると◎。「複数のハンガーを使い、重心を分散させることで、伸びや型崩れを防ぐことができますよ」
3.上のように“おばけ干し”でしっかり乾くまで干したら完了。
3.首に直に巻くマフラーは、意外と汚れていたりするもの。だけど、セーターやコートよりクリーニングすることへの意識が低いかも…? 皮脂汚れや化粧汚れがついていて、知らぬ間に落ちないシミになっていた…なんてことになる前に、キレイに洗濯してより心地よく愛用したい。
なお、使用アイテムや洗濯手順は、前述のセーターと同様。復習のようにチェックしてみて。
① 洗濯するマフラーを台の上に広げ、特に汚れが気になる箇所やシミの有無を確認し、汚れやシミがあるところに、霧吹きボトルに入れた“薄めた洗剤液(水とウール&デリケート製品用の中性洗濯洗剤を1:1で割ったもの)”を、吹きかける。
② ①で洗剤をかけた箇所を洗濯ブラシでトントンとたたき、洗剤を浸透させる。
②まで完了したら、洗濯おけに入るサイズに畳んでおく。
ステップ2もセーターと同様の手順で。
1.常温の水(30℃以下)を入れた洗濯おけに、適量の洗剤を加える(使用する洗剤の説明書きを読み、手洗いの希釈に適切な分量を)。洗剤を入れた水を手でよく泡立てる。
2.よく泡立てた洗剤水に畳んだマフラーをつけて、30秒程度やさしく押し洗いする。反対面にひっくりかえして、また30秒程度押し洗いする。ウールが水を弾いてしまうことがあるので、しっかりと全体が洗剤水につかるように。
3.洗濯おけからマフラーを取り出し、畳んで押ししぼる。
4.押ししぼったマフラーを洗濯ネットに入れて、洗濯機で1分脱水(デリケート、おうちクリーニング、手洗いコースなど)をかける。
セーター同様、洗濯ネットの余分なネットは結ったりゴムで縛ったりして、ネットの中でマフラーが動きすぎないようにする(ネットの中で箇所があると摩擦により毛玉ができたり、縮みの原因になったりするため)。ちなみに上の写真の黒い巾着ポーチは、リブレオリジナルの洗濯ネット「ランドリーネット スリーシックスティ ラージ」(¥16500)。ウェットスーツに用いられるクロロプレーン素材を使用し、衣類同士の摩擦による劣化や毛玉の防止、型崩れの発生を最小限に抑えられる特別な洗濯ネット。
5.洗濯機での脱水が終わったマフラーは、真水を入れた洗濯おけですすぐ。このときもマフラーを揉まずに押し洗いの手法で、30秒程度ずつ、表裏面を入れ替えてすすぐ。終えたら、畳んで押ししぼる。先ほどのように洗濯ネットに入れて、洗濯機で1分程度脱水したら洗濯は完了。
1.脱水されたマフラーを広げて形を整える。
2.ハンガーを複数(3本程度)使い、重心を分散させる“おばけ干し”をする。このように重心を分散させ干すことで、型崩れや防ぎ、仕上がりもキレイに。
600ml ¥4400/リブレ
リブレオリジナルのデリケート衣類専用洗剤「シルク&ウール ディタージェント」。シルク、ウール、カシミアなどのデリケート素材を使用した衣類の洗濯に適した洗剤で、蓄積した汗の汚れや、目に見えない車の排気ガスによる汚れなどもしっかり落としながら、洗えば洗うほどに、本来のツヤ感を取り戻してくれる優れもの。1度使えば、その違いに気づくはず! 心癒されるローズ&カモミールの香り。
大切な服を、より長くキレイな状態で着ていくためには、日頃のケアが欠かせないもの。毎回洗ったり、クリーニングに出すことは難しくても、自宅で手軽にできるデイリーケアを知っておくことで、きっともっと毎日のオシャレが楽しめるはず。今回は、冬ニット&ウールの洗濯HOW TOに付随して、リブレでニットのデイリーケアの方法も教えていただきました。
左奥から、ファブリックミスト「アウトドア リネンスプレー」¥2200、ファブリック シェイバー¥4950、SteamOne 衣類スチーマー S-Nomad ¥17600、リブレヨコハマ オリジナル クロスブラシ¥4400/リブレ
・ファブリックミスト(お好みで)
・電動毛玉取り機
・衣類スチーマー
・衣類ブラシ
・ハンガー
※洗う前に…
・水洗いをする前に、服の品質表示はよく確認を。(シルク製品はスチーマーやミストでもシミになる可能性が)
・迷った場合はクリーニング店に相談する
「ニットのセーターやウールのコートについた大抵のホコリやケダマは、ブラッシングをすることで取れます。服をよく見て、地の目にそって毛並みをそろえるイメージでブラシをかけてみましょう」(リブレ三宿店 綿田さん、以下同)
「ブラッシング後、気になる毛玉があるときは、毛玉取り機を使いましょう。シェーバーを服の生地に“ちょんちょん”と当てて、吸い取るように使います」
「服の形を整える役割もありますが、衣類についた気になるニオイもスチームをあてることでとれるはず。モヘア等、毛足の長いデザインのニットは、スチームで1度毛足を逆立ててから、改めてブラシで毛並みを整えるのもおすすめですよ」
「ここまでの3ステップで、ここまでキレイに整いました。どうでしょう? 最初のブラッシング中の写真と比べると、このセーターの風合いがつややかに変わったのがわかるはず」
「ファブリックミストはお好みでどうぞ。リブレでもいくつか展開しているファブリックミストですが、今回選ばせていただいたものは“アウトドア リネンスプレー”という防虫対策もできるもの。レモングラスやティーツリー、ミントといったさわやかな香りを楽しみながら、人や衣類に対し害を及ぼす虫(蚊・ダニ・衣類を食べるヒメマルカツオブシムシ等)が寄り付きにくくなります。ちなみにこちらは、いわゆる虫除けとして肌に使うこともできる優れものです」
『日本一の洗濯屋が教える間違いだらけの洗濯術』(洗濯ブラザーズ著、アスコム刊)
「生乾きの臭い」「黄ばみ」「シワ」「シミ」など、あるあるな洗濯の悩み。実はそれ、間違った洗い方によって起きるものでした。本書では、意外と知らない“洗濯の知識”をレクチャー。ちょっとした工夫でホームクリーニングはもっと心地よくなるはず!
洗濯ブラザーズとは?
毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。クリーニング店「LIVRER(リブレ)」を経営するかたわら、国内外の有名アーティストの衣装クリーニングも行っている。
LIVRER MISHUKU
住所:東京都世田谷区池尻2-7-12 ストアハウス三宿 1F
時間:11:00-20:00 ※水木定休
TEL:03-5431-0970
WEB:https://livrer.co.jp/
Instagram:@livrer_japan(ブランド公式)、@livrer_flagship(三宿店アカウント)
※横浜にも店舗あり。詳しくは記載のWEBサイトから。
※記載の価格はすべて税込
photograph_Yume Takakura /
edit_Ryoko Suzuki