JANTZEN COLUMN vol.2
ポートランドに想いを馳せて「読」《前編》
2021.12.01


ジャンセン(JANTZEN)の理念や考えに基づき、そこから派生したライフスタイルに纏わる“ヒト・モノ・コト”にフォーカスしていく連載企画「JANTZEN COLUMN」。

第2回目も初回に続き、“ジャンセンの故郷・ポートランドに想いを馳せる”をメインテーマとしながら、今回は、ポートランドにまつわる書籍をご紹介。選書のナビゲーターとして、NINE STORIESのかとうさおりさんをお迎えしました。


アメリカ・オレゴン州最大の都市、ポートランド。この地はジャンセンの故郷です。都市でありながらも自然に溢れ、穏やかで暮らしやすい街として知られており、また、地ビール醸造所やコーヒーショップといった生活を彩るスポットの他、音楽やアートといったカルチャーの発展が盛んなエリアとしても注目されています。


>>関連記事:ジャンセン発祥の地、ポートランドって?
URL:https://www.jantzen.jp/2021/01/13/column-01/


クリエイティビティに満ちたこの街が舞台の物語や、この街出身の作家が手掛ける作品などを通して、旅するようにポートランドのムードを感じてみて。

NINE STORIES・かとうさおりさんがナビゲートする
今、読みたい“ポートランドな本”

今回、選書をお願いしたのは、“ナインストーリーズ(NINE STORIES)”として、ショップの運営や選書、ものづくりにトークショーへの登壇など、読書にまつわる活動を行っている、本のプロフェッショナル・かとうさおりさん。「“ポートランドにまつわる本”の紹介という企画を聞いて、まず浮かんだのは、ガス・ヴァン・サントのポートランド三部作やケリー・ライカートの『ウェンディ&ルーシー』などの映画の舞台であるポートランドの町。味わいのある街並みが印象的です」10冊ほどのレコメンドから厳選し、本企画のために3冊の書籍をピックアップ。

気兼ねなく海外へ旅行に出かけることが出来ない今、想像力を持って暮らす事を日々大切にしている人もおおいはず。今回の選書においても、ポートランドの町の様子を思い浮かべ、空想を楽しむことができるような本、という視点も持ちながら選定。「中でも、この後一冊目に取り上げる、作家・ル=グウィンのエッセイ『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ』は、短い章で構成されているので、少しずつ読み進めたり、気になった章から読んでみたりと自由に楽しむことができると思います。比較的新しい作品なので、大きな書店等であれば手に入りやすいはず」まず何から読んでみようかな、と迷ったらまずはこちらからどうぞ。

それでは、早速、かとうさんセレクトの3冊をチェック!

【NINE STORIES select 01】
ポートランドで暮らした作家のエッセイ
創作やこの街での暮らし、フェミニズムなどについて綴られた一冊

『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて ル=グウィンのエッセイ』
アーシュラ・K・ル=グウィン著

ファンタジーやSF作品で知られるアメリカの作家、アーシュラ・K・ル=グウィンが80歳を過ぎてから始めたブログをまとめたエッセイ集。2018年にこの世を去るまでの間、長く暮らしたポートランドでの生活や、創作活動、老いながら生きることやフェミニズムについて書かれた文章には、彼女の知性やユーモアのセンスが光る。中には、愛猫との暮らしなど、心が暖まるエピソードも。オレゴン州の自然について書かれた最終章はあまりにも美しく、詩的な読後感にうっとりしてしまうこと間違いなし。

【NINE STORIES select 02】
ポートランドに引っ越してきた少年の成長録
物語の中で描かれる、ポートランドの街の様子にも注目!

『荒野にて』
ウィリー・ヴローティン著

父親とポートランドに引っ越してきたばかりの15歳の少年、チャーリー。知り合いもおらず、学校にも通えない環境にいるチャーリーの人生は過酷だ。しかし、食べ物を得るため慣れないポートランドの町を歩き、フットボールを続ける事を夢見てランニングする彼の姿には悲観的なところが僅かも無く、真っ直ぐである。ランニング中に競馬場で出会った馬、ピートと心を通わせながら、ある事件をきっかけに未来のために共に旅に出る。過去に映画化もされている、少年の成長を描いた心に響く作品。

写真のストール
JANTZEN:ボリュームストール
¥3,960(tax in)
https://www.jantzen.jp/fs/jantzen/goods/405D8001

【NINE STORIES select 03】
ポートランドで活躍したシンガーソングライターと
1994年のポートランドが題材のコミック・ジン

『エリオット・スミスのあれか、これか、それか』
Caffeine House著

ポートランドで活躍したシンガーソングライター、エリオット・スミスと94年のポートランドを題材にしたコミック・ジン。ポートランドに実在する書店、映画館など、ガイドブックなどで有名なポートランド・サインも登場する。ポートランドと京都。交差していく時間と登場人物。エリオット・スミスを軸に展開していくストーリーはほんのり暖かい気持ちに。彼の残した音楽を聞き返しながら、温もりがあるジンの紙とインクの質感を味わいながら読む事をオススメしたい。

【選書者プロフィール】
NINE STORIES・かとうさおり
色彩、記憶、物語をテーマに「ナインストーリーズ(NINE STORIES)」としてものづくりをスタート。読書にまつわる活動を主軸として行なっており、選書やトークイベントへの登壇も。さらに、自主企画として映画上映やトークイベントの企画に携わるほか、映画館、配給とのコラボレーション企画も行う。主な参加作品は「パロアルト・ストーリー」「アメリカン・スリープオーバー」「トルーマン・カポーティ 真実のテープ」など。また、主宰レーベル「ロストガールズブックス(LOST GIRLS BOOKS)」としてZINEの制作もスタートし、近刊ではアガサ・クリスティのファンジン「THE QUEEN OF CRIME」等がある。

Instagram:@saori_ninestories

JANTZEN COLUMUN vol.2 ポートランドに想いを馳せる「読」《前編》、いかがでしたか?今回もジャンセンの発祥の地である、アメリカ・ポートランドのカルチャーを身近なところから感じてみよう」をコンセプトに展開しました。

12月下旬旬公開予定のJANTZEN COLUMUN vol.3では、今回のコラム“ポートランドに想いを馳せる「読」”の《後編》をお送りします。愛読家としても知られる3名のクリエイターに、お気に入りの“ポートランドにまつわる本”を教えてもらいました。お楽しみに!

direction & photograph_Yume Takakura
(Instagram: @y_u_m_e_
edit & text_ryoco. (Instagram: @merrymapleni